2012年7月19日木曜日

来シーズンの目玉は?

梅雨が明けたと思ったら、Whistler Blackcombから2012/2013年シーズン幕開けを告げるプロモーションemailが届いた。
8月31日までに予約すれば、7泊のリフト&宿泊パックで40%割引の86㌦という安値をアナウンスしている。そして3泊以上すれば12歳以下の子供は宿泊はタダ、大人1人につき子供1人のリフト券もタダだ。

この最安値パックは12月21日までのもので、22日以降に4パターンがある。中でもクリスマスと新年を挟むクライマックスパターンは最高値になっている。しかし、4パターンともに3泊以上すれば12歳以下の子供は宿泊はタダ、大人1人につき子供1人のリフト券もタダだ。
8月31日にまでに予約し、「3泊以上すれば12歳以下の子供は宿泊はタダ、大人1人につき子供1人のリフト券もタダ」が来シーズンのキャッチ、目玉のようだ。

北米のスキーリゾートの中でいの一番にemailを送ってきてくれたのだが、Whistler Blackcombは最後のひと押しを欠いている。上のパッケージ・ページ(出典)にFacebookへのリンクはあるのだが、Twitterへのリンクがない。

出典:Whistler Blackcomb Early Booking Deals

他のページには必ず、Vimeo、RSS、Facebook、Twitter、Flickr、YouTube、Tripadvisorへのリンクがあるのだが、この早期割引ページにはそれがない。特にTwitterへのリンクがないのが痛い。残念。

さて、日本のスキーリゾートも来シーズンに向けて各種企画を練っている時期だと思うが、email、プラグイン、ソーシャルメディアを統合したWebサイトにあわせて、「目玉」が肝心だ。

来シーズンの目玉に何をお考えですか?
  1. EpicMixですか?
  2. モバイルアプリですか?
  3. ウィンター・サマーシーズンパスですか?
  4. TripAdvisorですか?
  5. Twitter・Facebookプロモーションですか?
  6. 年間・シーズンパスポートのギフト化ですか?
  7. 参加型クラウド・プロモーションですか?
  8. FourSquare、Pinterestですか?
最大40%割引を打ち出したWhistler Blackcombの目玉を上回るような企画を期待しています。

2012年7月11日水曜日

メトロポリタン美術館からの勧誘メール

メトロポリタン美術館から勧誘(html)メールが届いた。(クリックでWebへ)
メンバーになれば、7月24日から8月5日までの朝8:30から1時間、エルザ・スキャパレッリとプラダを取上げた「Schiaparelli and Prada: Impossible Conversations」を鑑賞できますよという勧誘だ。

「Join Today」をクリックすると、メール登録をしているユーザ向けの「Met Net」なら年間70㌦で何度でも行くことができるメンバーシップを申し込むことができる。
欧米のニュースリリースに登録していると、やってくるのはすべてhtmlメールなので、画像やクリックボタンがうまく配置されている。それが分かっているだけに開封率やCTRも高いだろうと思う。そしてLPも分かりやすく、サイト側の意図したフローをたどっていくことができる。

また、メトロポリタン美術館の場合、NYから半径200マイル以遠のユーザには、「National & International Membership」があり、結構なディスカウントが提供されているので、遠方のユーザもメンバーになりやすい。

欧米では、Webサイトにアクセスするユーザを待っているだけや、テキストベースのメルマガを送っている時代ではなくなっている。そのため各美術・博物館は、様々なアプローチをとっている。ソーシャルメディアスペースに参加してコミュニケーションを多様化したり、htmlメールを登録ユーザに送って勧誘している。Wikiを公開してWebおよびニューメディア戦略プロセスに対する貢献を募っていたりする。

ソーシャルメディアスペースに参加して情報を発信・露出することも重要だが、個別ユーザのメールボックスにメールを届けることも合わせて行っている所が大半だ。TwitterやFacebookから情報発信しておけばいいと考えるような所は少ない。

特に140文字のテキストに、キャッチコピー、タグライン、画像、クリックボタンをつけられるわけもない。高速で走る車窓を飛び去ってゆく140文字からコンテキストを読み取り、リンクをクリックできるわけもない。

だから多層化されたコミュニケーションのコアツールとしてメールは活用されている。そして、上図にあるようにメールの右肩には、Twitter、Facebookへのリンクも備えてタッチポイントをマルチチャネル化している。

勧誘メールひとつからも多くのことが学べる。

2012年7月5日木曜日

ミュージアムとモバイルサービス

世界24カ国、615人のミュージアム関係者やモバイルベンダー、リサーチャーから回答を受けた3回目の調査、「Museum & Mobile 2012」というレポートが公開されている。
残念ながら日本から調査に参加しているミュージアムはなさそうだ。

さて、回答の78%(480件)は米国、英国とカナダがそれぞれ5%(33件)を占めている。ミュージアム関係者からの回答は554件あり、そのうち現在モバイルサービスを提供しているのは177件、165件は今後12ヶ月間にモバイルサービスの開始を予定しており、212件はモバイルサービス提供の予定はないそうだ。
現在、モバイルサービスを提供している、あるいはこれから予定しているミュージアムの内訳を見ると、美術館・ギャラリーがトップに来ている。続いて歴史博物館がくるが、その後はずっと離されている状況だ。当然だろうが、科学・技術館は回答者数が少ないながら比率的には美術館・ギャラリーを上回るモバイル対応をしているように見える。
次にミュージアムの年間入場者数規模ごとのモバイル対応がある。年間25万以上の入場者を抱えているミュージアムは50%以上、100万人以上の入場者を抱えているミュージアムは60%以上がモバイル対応している。5万~25万人規模のミュージアムでも40%を越えている。また、これから予定している所を加えると5万人以上の入場者を抱えている所の70%は対応することになる。
これら以外にも、モバイル対応の中身、館内外でのモバイル対応、モバイルサービスの無・有料、利用するハードウェア、ターゲットオーディエンス、モバイルサービスの目的、モバイルサービスを提供しない理由、モバイルサービスを提供するための障害・チャレンジ、これから2年後におけるミュージアムとモバイルの将来に関する回答結果が示され、そして、最後に過去12カ月間で体験したモバイルサービスが挙げられている。

出典:Museum & Mobile in 2012 Survey Result

ミュージアムに来場するオーディエンス、利用者へのサービスには、様々なものがある。その中のひとつのサービスとしてモバイルを全世界のミュージアムが注目している。

別な見方をすると、現在、様々な企業がモバイルで多様なサービスを提供している現状を背景として、その利用者・ユーザは、一般事業会社と同列にミュージアムを見る。同じようなサービスをミュージアムにも期待する。また、ミュージアムの関係者自体がそれらサービスを享受しているため、便利だからとか、入場者にモバイルサービスを提供することでミュージアムの価値やコンテンツ共有を高められると理解している。そのため、世界のミュージアムがこぞってモバイル化を進めている。

全人口を上回る台数の携帯・スマホが普及し、様々なモバイルサービスが行われている日本でも当然、注目されるべきものだ。しかし、この調査に参加した日本のミュージアムはない。コンタクトはあったはずだが、それに回答したミュージアムはいなかったということだろう。

2年後の将来を考えた時、回答には
  • Webサイトのモバイル最適化
  • モバイル戦略構築
  • モバイルコンテンツのインハウス制作
  • スマホアプリ開発
  • ロケーションサービス
  • 館内WiFiネットワーク構築
  • AR(拡張現実)活用
といった項目が挙げられている。

世界のミュージアム全体の29%がすでにモバイルサービスを提供し、27%が提供を予定している。一方、国内ではどれくらいになるのだろうか?乱暴にひと桁少ないとすればそれぞれ3%程度しか、現状を見ていない、見えていないといったところだろうか?

調査に参加した各国のミュージアムと日本のミュージアムで直面する現実、将来は違うと考える方はいないはずだが...。

以前、「日本の美術・博物館の50%は新しいことに挑戦していない?」で、
ガラケーと同様にガラミュー(ガラパゴス・ミュージアム)という言葉が独り立ちし、独り歩きをしないように期待したい。  
と書いたけれど、やはり、今、モバイル対応をしなければ、日本のミュージアムはガラパゴス化してしまいそうな気になってしまう。2年後になったとしても、今、現状を把握していないミュージアムに変化が訪れると期待はできない気がする。

参考:日本の美術・博物館の50%は新しいことに挑戦していない?