2012年9月10日月曜日

スキーリゾートの頭のひねり処

先週、「参考:グループ用のシーズンパス」で、参考になりそうなシーズンパスについて書いた。カナダや米国にある特定スキーリゾートにおける4人グループに大幅なディスカウントを適用したシーズンパスの話を紹介した。

なお、複数のスキーリゾートをまたいだシーズンパスもすでに発売されている。これまでに3度ほど紹介したVail ResortのEpicMixだ。これは8つのリゾートで使えるシーズンパスで、個々のリゾートのシーズンパスの約半額だ。

それに加えて今シーズンから「Mountain Collective Pass」が発売されている。これはJackson Hole、Squaw Valley、Alpine Meadows、Ajax、Aspen Highlands、Buttermilk、そしてSnowmassの8か所で使えるシーズンパスだ。8か所のうち4か所で利用でき、2日間だけフリーでリフトが使え、それ以降はリフト券半額、宿泊も25%割引となるパスだ。

ローカルスキーヤー・ボーダーにとって見ると、「Mountain Collective Pass」よりも通常の個別シーズンパスの方が使い勝手がいいので、売上減にはつながらないはずだ。

シーズンパスは基本的に地元、ローカルスキーヤー・ボーダー向けに発売されている。しかし、「Mountain Collective Pass」の例では個々のWebサイトでパスを販売するだけではなく、Liftopiaというチケットポータルと連携し、そのメールDB、ソーシャルリーチ、Webトラフィックを活用してローカル以外のスキーヤー・ボーダーを取り込もうとしている。

目論見通りうまく行くかはこれからだが、日本でも西部のような大手資本や、同じ県内や隣県の複数リゾートがタッグを組んでやることもできる。そんなシーズンパスだ。

米国のNSAA(National Ski Areas Association)の統計をみると、スキー場数も利用者数も減っている。(右縦軸は100万人単位)
5月のブログで以下のように書いた。
この図から推定できるのは、スキー場が減った分、大都市から近いスキー場、交通の便のいいスキー場、スキー以外のアトラクションを備えたスキー場に利用者 が集中している。2011・2012年シーズンはどのスキー場も積雪が少なく利用者が減った。あるいは、交通の便のいい大規模なスキー場が多くの利用者を 集め、便の悪い中小規模のスキー場が利用者減少に苦しんでいる。また、2011・2012年シーズンの利用者減少がスキー場の閉鎖を加速させるかもしれ ず、その結果、大規模スキー場への一極集中化がより進むのではないかということだ。そして、大規模スキー場同士の集客バトルがより激しさを増すだろうということだ。
参考:米国のスキー産業が加速するソーシャルメディア戦略

米国では大規模スキー場同士の集客バトルが激化すると考えたが、共倒れを防ぐ策に出たようだ。独り勝ちはありえず、大手同士の間で共存しなければ共倒れしかねないといった危機感があると見える。

一方、日本では米国よりももっと厳しい状況ではないだろうか。もし、そうだとすると、とに角共倒れを防ぐために頭をひねらなければならない。去年と同じことをやっていては利用客が減少するという危機感を共有しない限り、大手資本傘下のリゾートも危ないかもしれない。

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