5月28日には徳島の大塚国際美術館で第61回全国美術館会議総会が開催されていた。
3年ごとに文科省の社会教育調査があり、そこで9分類の博物館数や入館者数統計があるので必要がないと言えば必要がないが、この種、団体があると一般的に各種統計、調査などのデータを提供していることが多いので、独自のもう少し詳しい調査データがあればと期待していたが、そういったものはなかった。
もうひとつ、期待していたのは、研究部会に「マーケティング」的な活動をしているものがあればということだったが、これも見あたらなかった。(見落としていた場合、ご教授ください)
同様な団体は、世界的にはICOM(International Council of Museums)があり、米国にはAAM(American Association of Museums)がある。そのAAMにはMBO(Museum Benchmarking Online)というデータがあって、
- 売上、コスト
- 人員(雇用、ボランティア、人件費)
- 入館者数、入館料
- 教育
- 寄付
- 運営コスト
また、AAMでは5月31日には「リサーチ&マーケティング」、6月5日には「ミュージアム・ビジネス・プランニング」が予定されている。
「リサーチ&マーケティング」
AAMのPR&マーケティング専門家ネットワーク委員会とニューヨーク植物園がコラボして、
- マーケットリサーチが、如何にして将来のミュージアム来館者を理解する切り口となるか、また彼らがミュージアム体験から何を求めるのか
- 電話、オンライン調査、そしてソーシャルメディアツールを使ってオーディエンスの視点を活用するトレンドのアップデート
- 政府やその他ソースから資金を獲得するためにどのように経済的影響の調査を活用するか
「マーケティングゴールにマッチする調査手法の調整」
「文化観光と文化オーディエンスの理解」
「ミュージアム・ビジネス・プランニング」
NY美術館協会、AAMなどがコラボして、「非営利組織としての価値および優先事項を保持しながら、ミュージアムは一般事業会社のように運営するようプレッシャーを受けていると感じることが増えている。一般事業会社のベストプラクティスをミュージアム運営に組み込むことに意味があるが、困難をともなうチャレンジとなる。このWebinarでは、ビジネス・プランニングに必要となるプロセスを検証する」として、
- 施設能力・リソースをベースとしたプランニングからのシフトに必要となるものは
- 施設の基本的ビジネスモデルをどのように明確化し、分析するには
- 「カスタマー」「投資家」と「ビジター」「ドナー」の差異
- ビジネスプランを構築するために知るべき情報およびデータとは
- 誰が参加し、何に対して責任を持つのか
- 利益あるいは損失を越える成功をどのように計測するか
AAMにどのような委員会、研究部会的なものがあるかはよく分からないが、統計データがあり、リサーチ&マーケティング関連のセミナー、Webinarも開催している。
自施設だけでは何をやるにしても判断材料がない。どのようにやるべきかといった知見の蓄積もない。そこに、他施設のデータを集めたベンチマーク統計があって初めて比較・対照することができる。そして、そこを踏み台にして、現状を如何に打破するか、拡張・拡大するかといった考え方、手法、事例を学ぶこともできるサービス、資料があって初めて最終ゴールに近づくことができる。
そんなデータ、資料をAAMは提供している。
それにしても、ライブWebinarとは...。米国内ではもう一般的なセミナー形態になっているが、それを美術館団体でも提供する時代になっている。国内ではPDFファイルのダウンロード提供もままならない所がいくつもあるというのに。
さて、AAMが提供するコンテンツを見れば見るほど、全国美術館会議にも統計データ、マーケティングに関する委員会、研究部会が必要だと思いますが、いかがでしょうか?
-この項、明日に続く
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