2012年5月28日月曜日

スキー場はユーザレビューをリンクするべきですよ!

先週、「米国のスキー産業が加速するソーシャルメディア戦略」で紹介したWhistler BlackcombのWebサイト末尾左には、各種ソーシャルメディアスペースへのリンクがある。

参考:米国のスキー産業が加速するソーシャルメディア戦略

その中の右端にある、フクロウのようなロゴが、トリップアドバイザーだ。
世界最大の旅行情報(クチコミ・レビュー)サイトであるトリップアドバイザーへのリンクをなぜ、Whistler BlackcombのWebから貼っているのだろうという疑問が湧く。

リンクをクリックすると以下のページへ飛ぶ。

カナダ、Whistler地方のクチコミ情報2位にWhistler Blackcombが来ており、382件のレビューが上っている。

「なんだ2位なのか」という方もおられるだろうが、1位は「PEAK 2 PEAK」というゴンドラに関するレビューで、それは2008年にWhistler Blackcombが建設したものだ。ということで、1位、2位はWhistler Blackcombに関するもので、8位と9位もWhistler Blackcombだ。

施設側がいくらしゃかり気になって、「うちのスキー場はいいですよ」 と声を枯らしても、ひとつ、ふたつネガティブなレビューがあればユーザの「行く気持ち」はそこで断たれかねない。しかし、ひとつ、ふたつ、あるいはそれ以上、ポジティブなレビューがあれば、ユーザの「行く気持ち」に拍車がかかること請け合いだ。

それもトリップアドバイザーがやっているようにFacebookで友人関係にあるユーザのレビューが出てくれば、「もう即、予約」という話になってくる。

日本でも同じだ。日本版サイトで「日本のスキー場」を検索すると、ページトップ右上に「トリップアドバイザーはFacebookを活用して、パーソナライズされた内容を提供します」とある。


18件のスキー場レビューが上っている(ただし、検索結果は各ユーザごとのアクセス・検索履歴によって変動する)。

例えばトップに挙げられている「山形蔵王温泉スキー場」は32件のレビューがあり、「とても良い」が19件、「良い」が11件だ。雪質が良い、秋には紅葉がきれい、日本有数のビッグゲレンデ、樹氷のメッカ山形蔵王といったレビューが並んでいる。そして、各レビュアーに対して、何人もの人々が「役に立った」と評価しているし、それぞれのレビューに対して個別に「役に立った」と評価している。

こういったレビューとユーザ評価を「トリップアドバイザー」を利用するユーザだけに独占させておく手はない。本当にもったいない。だからこそ、Whistler BlackcombはWebページのトップからリンクを張っているわけだ。

Whistler Blackcombのように年間200万人以上のスキー客を世界中から集め、2億㌦以上の売上を上げる世界的なトップリゾートであっても、こういったユーザレビューサイトの力を借りている。いや、借りなければユーザの信頼を獲得できないことを理解していると言った方が正しい。

ユーザの情報・コンテンツ制作力、発信力、共有力が、マスメディアを支配するような一般事業会社のそれを上回っている現在、どんなに支配的な集客施設であったとしても、独自のプロモーションやマーケティングで目標を達成することなどできない。それを理解しさえすれば、ユーザの力を借りる、ユーザと対等な立場からのコミュニケーションをオープンに行いさえすれば、目標に近づくことができる。ユーザの信頼を勝ち得ることができる。

「いや、うちのWebでもちゃんとユーザのレビューを掲載している」という施設もある。しかし、施設が管理・コントロールしているスペース内のレビューを信頼するユーザより、第3者スペースでのレビューを信頼するユーザの方が多い。そして、第3者スペースでは、自分のクチコミを自由に書き込むことができるが、施設Webスペースでそんなことができるだろうか。ネガティブなレビューを書き込むことができるだろうか。

どこのスキー場やリゾートのWebサイトへアクセスしても同じようなコンテンツが並んでいる。どこにするか決める決定的なポイントを見つけるのは難しい。候補に挙がっているスキー場、リゾートを利用したことのある知人・友人がいれば別だが、目的地を選択する際、利用者のクチコミをまずチェックするようになるのにそんなに時間はかからない。

そして、そういったクチコミは施設の公式Webサイトとは関係のない、レビューサイトや、Facebook、Twitter、ブログなどを経由して広まっている。ということを理解すれば、Webサイトだけでの情報提供や集客は難しく、ソーシャルメディア対応が必要だなとなる。その結果が、Whistler BlackcombがWebページのトップからリンクを張っている理由だ。

トリップアドバイザーの日本人ユーザ数はまだ数百万人程度(2009年9月で200万人近く)だが、この数百万人程度がソーシャルメディアを経由して数千万人に影響を及ぼすことを考えると、「ユーザレビュー」サイトとのリンクは必ず必要なものだ。

出典:InternetWatch TripAdvisorのCEOに聞く

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