2012年4月27日金曜日

EpicMixをご存知ですか?

米コロラド州にVailというスキーリゾートがある。

毎年、何万というスキーヤーやボーダーがウィンターバケーションを楽しむ。そして、彼らはそのパウダースノーの経験を他のスキーヤー、ボーダーに伝えたくて、話したくてうずうずしている。

ということで、Vailは彼ら彼女達のうずうずを晴らし、Vailの体験を広め、共有してもらえる可能性を活用することにした。

Vailリゾートには数多くのダウンヒルルートがあり、もうそれはモバイル体験そのものだ。そこで、RFIDを仕込んだスキーパスと、パスホルダーが利用・通過するリフト・ゴンドラの乗降場所や、ルートの頂上や途中で、どのルートをたどったのか、標高、日付、滑走日数などをチェックし、それを収集するデバイスを作った。

その模様はビデオをどうぞ。



結果がWOMMAのケーススタディとしてまとめられている。曰く、
  1. 2010年12月からこのシステムの運用を開始し、10万人近くがシステム登録を行い、アカウントを稼働させた
  2. 38,000人がアンドロイド、iPhoneアプリを利用した
  3. 3,500万ソーシャルインプレッションを獲得した。
出典:WOMMA ケーススタディ:Vailリゾート
注:2010年9月とするデータもある。

もう少し説明すると、Vailが稼働させたのはEpicMixというシステムだ。このリフト券兼用のEpicPassをポケットに入れておき、あとは滑るだけで、その日の滑走標高差、乗ったリストの数、場所を記録してくれる。後は、PCやスマホで自分のアカウントにログインすると、 全てがチェックできるシステムとなっている。

その結果に応じて、滑った回数や累積標高、乗ったリスト数、訪れたリゾート数、アカウントにアップした写真数などに応じてポイントやバッジが与えられたり、ランキング順位がわかるシステムとなっている。このバッジは、FourSquareのように称号をもらえるため、それをコレクションするためだけにゲレンデに通うユーザもいる。

このシステムのすごい所は、アカウントを持っている友人であればゲレンデの何処を滑っているかがわかったり、自分のFacebook、Twitterアカウントへ累積標高やランキングを発信できることだ。スキー、ボーダーというウィンタースポーツに、RFIDとソーシャルメディアを組み込むことで体験を共有することができるシステムだということだ。


このEpicMixは、Clio Awards 2011でシルバー賞を受賞している。滑った距離や乗ったリスト回数といった記録というだけなら、Nike+ のアプローチと似ているが、仲間や友人達との体験共有を組み込んでいる処が頭ひとつ抜けている点だろう。

EpicMixを使っているプレイヤーのランキングを見てみる。


そのトッププレイヤーであるCharles Aのパフォーマンスを見ると、2011/2012シーズンの累積標高差は745万ft、リスト回数4,228、ゲレンデ日数167日とある。


これだけのパフォーマンスをたたき出しているスキーヤー(ボーダー)は当然だが、土日スキーヤー(ボーダー)でも今シーズン、どこに行き、何回リストに乗り、どれくらいの標高差を滑り、写真を何枚撮り、ポイントは何点で、といった情報を自分のFacebookやTwitterから発信し、家族や友人、同僚たちとコミュニケーションするのは楽しいはずだ。

今シーズンのEpicMixは、Vailリゾート全体に12名程度のカメラスタッフを配置し、スキーヤー(ボーダー)の写真を撮るサービスもやっている。EpicMixにアップされた写真は各ユーザが自分のアカウントに出すだけではなく、FacebookやTwitterにも投稿できる。旅の思い出、滑りの記憶を多くの人々と共有できるサービスだ。高解像度の写真は20㌦だが、それ以外の写真は無料だ。

こんな面白いサービス、EpicMixをやっているスノーリゾートが北米にはあります。

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