2012年4月23日月曜日

日本の美術・博物館の50%は新しいことに挑戦していない?

Museum and the Web2012で、「People's Choice」と「Museum Professional」賞を受賞したMuseum Analytics(beta)による、「2010年世界の美術・博物館ランキング」を入場者数別に見ると、ルーブルが850万人でダントツの1位、大英博物館は584万人で2位、メトロポリタンが522万人で3位となっている。

トップ20位には欧米の有名美術・博物館が並んでいるが、9位に韓国の国立中央博物館、13位にロシアのエルミタージュ美術館、14位にブラジルのCCBBが来ている。日本はと言うと、国立新美術館が 203万人で17位となっている。(下図は分かりにくいのでクリックしてオリジナルを見てください。そして、「Offline」順に並べ替えてください)


ま、観光地と化している著名美術・博物館に太刀打ちできるわけもないが、上位20位までの美術・博物館でFacebookも、Twitterもやっていないのは日本の国立新美術館だけだが、話はそれで終わらない。

日本からは合計14の美術・博物館が登録されているが、国立西洋美術館京都国立近代美術館奈良国立博物館東京国立近代美術館横浜美術館京都市美術館はFacebookも、Twitterもやっていない。

それに比べると米国(ランクされている館数1,384)、英国(200)、スペイン(56)、カナダ(96)、イスラエル(4)、スウェーデン(34)、デンマーク(9)、メキシコ(15)、コロンビア(3)、ニュージーランド(18)、カタール(2)、ポーランド(5)、アイルランド(9)、ギリシャ(5)、ノルウェー(8)、フィリピン(3)、ペルー(1)、オーストリア(12)、ハンガリー(4)、チェコ(2)、インド(1)、香港(1)は、すべてFacebookとTwitterの両方、あるいは少なくともどちらかを運用している。
(Museum Analyticsは3,000館以上をリストアップしているが、ベータ版ということで、国、都市が未分類の館がまだ多い)

ロシア(13)、仏(28)、豪(49)、独(58)、ポルトガル(26)、ベルギー(14)は、1か所だけがいずれもやっていない。韓国(5)は2か所、イタリア(34)は9か所、オランダ(165)は11か所、トルコ(5)は2か所、中国(2)は2か所がいずれもやっていない。

日本、ロシア、仏、豪、独、ポルトガル、ベルギー、韓国、伊、蘭、トルコの美術・博物館のいくつかは、FacebookおよびTwitterというソーシャルチャネルの恩恵に浴していないということだ。

これらの美術・博物館は、他の美術・博物館が入来場者に加えて、MOMAのように100万人以上のFacebookファンや97万人以上のTwitterフォロワーを抱えて、ダイレクトなコミュニケーションをしているにもかかわらず、新しいオーディエンスに彼らのスペースで語りかけることも、コンテンツを共有してもらうこともしていないことになる。

「特に日本は、中国の100%に次いで50%の美術・博物館が新しいことに挑戦していない」と書くと大げさで的外れになる。だが、中国からFacebook、Twitterができないことを考えると、日本の比率は他国に比べて異常に高いと言わざるを得ない。

このMuseum Analytics(beta)でカウントされていない、例えば、@MOMAT60th(東京国立近代美術館 開館60周年)といったアカウントもある。しかし、それは他国の場合も同じだろう。

年間50万人、100万人、200万人が入来場しているからそれでいい、ということには絶対ならない。ということを理解しているからこそ、他国の美術・博物館は、手間暇、時間、予算、人的リソースを割いてソーシャルメディア対応を行っている。それに引き換え、日本の美術・博物館は遅れていると言わざるを得ない。

ガラケーと同様にガラミュー(ガラパゴス・ミュージアム)という言葉が独り立ちし、独り歩きをしないように期待したい。

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