2013年4月8日月曜日

いろいろと活用できそうなFacebookアプリ

Copper Mountainというスキーリゾートがある。
ここが面白いFacebookアプリを提供している。

Copper MountainのFacebookページにアクセスして「Cover Photo Generator」へ行くと以下のような画面が現れる。
ここからカバーフォトとして好きな画像を選んで自分のページで使うことができる。ちょっと試してみたのが下のページになる。
当然、御覧のように右下にCopper Mpuntainというクレジットが入っているが、どの画像もあまり目立たないようには工夫されている。

しかし、Facebookユーザが自分のページに使ってくれるCopper Mpuntainクレジット入りの画像が、ユーザの友人へ露出し、その友人が画像を使ってくれれば、そのまた友人へ露出するという話になってくる。

当然、Facebookファンのみならず、Twitterフォロワーに対しても発信して入口を広げている。
スキーリゾートの画像を利用したこのケースではFacebookアプリを介した話だが、別にアプリを開発しなくとも同じようにできないこともない。著作権だとああだこうだと言わない限り、Facebook、Twitter、Flickrなどにアップしている画像を使ってもらえばいいだけのことだ。ただ、使ってもらうためのコツが要りそうだが、それはアイディア次第だろう。

今のところCopper Mountainの二番煎じを始めたリゾートはないそうだが、日本で二番煎じならぬ一番煎じを始めるところがあってほしいと思う。そんなマーケティングを考えるところがあってほしいと思います、本当に。

出典:SlopeFillers

2013年1月24日木曜日

スキーリゾートの共同プロモーション例

ちょっと古い話だが、米ニューヨーク州にある11地区の20のスキーリゾートが1月10日のリフト券を先着1万名に10ドルで販売するという話をNYTが伝えていた。

通常であれば1日84ドルのWhiteface mountain lake placid,47ドルのBelleayre、75ドルのGore Mountainといったところも10ドルで一日リフトを提供するという一大キャンペーンを20のスキーリゾートが共同で行ったわけだ。

もうこのプロモーションは終わったが、下の共同サイトでリゾートごとにリフトチケットの登録をさせていた。当然、氏名やメールアドレスを入力させたので、その後のマーケティングにも使う算段がついていたようだ。


さて、 「私をスキーに連れて行って」という過去の一大社会現象以降、右肩下がりのスキー客数の歯止めがかからない日本で、この種の共同プロモーションといえば、系列やチェーン展開しているスキー場なら聞いたこともあるが、系列をまたいだものはあるのだろうか?

ひとつやふたつが赤字覚悟のキャンペーンを張れば地元メディアのひとつは報道してくれるが、それでは地元スキーヤーやボーダーにしか訴求しない。しかし、州全体で20のリゾートが共同でやるとなると、NYTimes.comといったナショナルメディアが報道してくれる。全米規模での露出が稼げることになる。

この効果を考えて系列をまたいだプロモーションを企画、説得したのは誰なのかを考えると、プロモーション後、リゾートごとのマーケティング施策までを考えに入れれば、きっとどこかのマーケティング会社が骨を折ったはずだ。

年末から年始にかけてスキー場のニュースに接していないことからも、日本にもそんなマーケティング会社がいてほしいなとは、思います。

出典:NYTimes.com In Transit / New York Areas Offer $10 Lift Tickets, for a Day

2012年9月10日月曜日

スキーリゾートの頭のひねり処

先週、「参考:グループ用のシーズンパス」で、参考になりそうなシーズンパスについて書いた。カナダや米国にある特定スキーリゾートにおける4人グループに大幅なディスカウントを適用したシーズンパスの話を紹介した。

なお、複数のスキーリゾートをまたいだシーズンパスもすでに発売されている。これまでに3度ほど紹介したVail ResortのEpicMixだ。これは8つのリゾートで使えるシーズンパスで、個々のリゾートのシーズンパスの約半額だ。

それに加えて今シーズンから「Mountain Collective Pass」が発売されている。これはJackson Hole、Squaw Valley、Alpine Meadows、Ajax、Aspen Highlands、Buttermilk、そしてSnowmassの8か所で使えるシーズンパスだ。8か所のうち4か所で利用でき、2日間だけフリーでリフトが使え、それ以降はリフト券半額、宿泊も25%割引となるパスだ。

ローカルスキーヤー・ボーダーにとって見ると、「Mountain Collective Pass」よりも通常の個別シーズンパスの方が使い勝手がいいので、売上減にはつながらないはずだ。

シーズンパスは基本的に地元、ローカルスキーヤー・ボーダー向けに発売されている。しかし、「Mountain Collective Pass」の例では個々のWebサイトでパスを販売するだけではなく、Liftopiaというチケットポータルと連携し、そのメールDB、ソーシャルリーチ、Webトラフィックを活用してローカル以外のスキーヤー・ボーダーを取り込もうとしている。

目論見通りうまく行くかはこれからだが、日本でも西部のような大手資本や、同じ県内や隣県の複数リゾートがタッグを組んでやることもできる。そんなシーズンパスだ。

米国のNSAA(National Ski Areas Association)の統計をみると、スキー場数も利用者数も減っている。(右縦軸は100万人単位)
5月のブログで以下のように書いた。
この図から推定できるのは、スキー場が減った分、大都市から近いスキー場、交通の便のいいスキー場、スキー以外のアトラクションを備えたスキー場に利用者 が集中している。2011・2012年シーズンはどのスキー場も積雪が少なく利用者が減った。あるいは、交通の便のいい大規模なスキー場が多くの利用者を 集め、便の悪い中小規模のスキー場が利用者減少に苦しんでいる。また、2011・2012年シーズンの利用者減少がスキー場の閉鎖を加速させるかもしれ ず、その結果、大規模スキー場への一極集中化がより進むのではないかということだ。そして、大規模スキー場同士の集客バトルがより激しさを増すだろうということだ。
参考:米国のスキー産業が加速するソーシャルメディア戦略

米国では大規模スキー場同士の集客バトルが激化すると考えたが、共倒れを防ぐ策に出たようだ。独り勝ちはありえず、大手同士の間で共存しなければ共倒れしかねないといった危機感があると見える。

一方、日本では米国よりももっと厳しい状況ではないだろうか。もし、そうだとすると、とに角共倒れを防ぐために頭をひねらなければならない。去年と同じことをやっていては利用客が減少するという危機感を共有しない限り、大手資本傘下のリゾートも危ないかもしれない。

2012年9月7日金曜日

GOプロジェクトローンチ

ブルックリン美術館に関しては、5月と6月に記事を書いた。

参考:ブルックリン美術館のクラウドソーシング(速報)
参考:「Click!」から「GO」へ飛躍したブルックリン美術館の舞台裏

その「GO」プロジェクトの公開日が明日の9月8日と9日の両日ということでいよいよ押し迫ってきた。「GOプロジェクト」そのものは下をご覧いただきたい。

このプロジェクトには約1,800人のアーティストが参加し、3,100人以上のボーター(投票者)が登録している。登録したボーターは、訪れるスタジオを予定表に記入している。2日間で6スタジオを訪問する予定のボーターもいれば、多分無理だろうが下のように102か所を回る予定の兵もいる。
登録しているボーターは3,100人程度だが、友人や家族と連れだって様々なスタジオを訪れるのは間違いない。また、登録せずにスタジオを回る一般の住民、オーディエンス、飛び入り、その日にプロジェクトを知った観光客などはその数倍になるだろう。そして、このGOプロジェクトを蔭から支えるボランティアの存在も無視できない。

少なくとも数万といった数の人々がアーティストのスタジオを訪れ、新しい発見、出会いを心に記すことになる。

美術館という固定施設から足を踏み出し、フィールドでアートと邂逅してもらう体験を提供するGOプロジェクト。そこには物知り顔やしたり顔の鑑賞者はおらず、アーティストと直接会話でき、何気ない質問や会話の中から共感や発見を共有することができる。そしてこの共感や発見はオーディエンスのソーシャルネットワークを経由して計り知れない広がりの中で共有されてゆく。そして、無名に近いアーティストのソーシャルスペース、FacebookやTwitter、Webへオーディエンスを誘い、そこからまた新しいコネクションとエンゲージメント、そしてシェアを生み出すことになる。

出張美術館といった活動もあるが、このGOプロジェクトほど他美術館が今後の参考にするべきプロジェクトは想像できない。これほどのマグニチュードを運営するスタッフィング、リソースを美術館単体で賄うことは不可能だが、友の会やサポーターといった支援組織の全面的なバックアップ、そして、自治体およびIT関連企業の後援、支援さえ取り付けることができれば、日本でも同様プロジェクトをスタートすることは可能だ。是非、来年にでも日本で初めての美術館クラウドソーシングを期待したい。

ところで、GOプロジェクトのWebにはショップもある。そこにはGOプロジェクトのTシャツ、トートーバッグ、スウェット、野球帽がありクレジット購入ができるようになっている。少し時間はかかったけれどちゃんとやるべきことはやっているんです。

2012年9月5日水曜日

参考:グループ用のシーズンパス

先日のSankeiBizに、西武が傘下のスキー場で小学生以下のこどもリフト料金を無料化するという記事があった。

出典:SankeiBiz

例えば、苗場エリアの限定リフト券や苗場ファミリーゾーン専用券の場合、以下のようなリフト券種がある。
小学生以下が無料になったので、夫婦二人で最大8,000円、あるいは7,000円で子供とスキーに出かけられることになる。ホテルやリゾート施設で実施する子供向け企画をテコに家族客を呼び込もうという算段だ。

ただし、交通費、宿泊費、食費、お土産代に加えてのリフト代を考えると、年に2度以上家族連れでスキー場を訪れる客は期待できないということなのか、シーズンパスは販売していないようだ。

しかし、家族連れのしがらみからは無縁であり、スキー・スノーボードに熱中しているターゲット層に対してシーズンパスは有効に機能するはずだ。そういったターゲットは友人、知人達と連れ添ってリゾートに足を運ぶはずなので他の多くのリゾートではシーズンパスを出している。

そのシーズンパスの参考になるケースがある。

カナダのNorquayというスキー場のシーズンパスには、Super Senior(80+)というチケットがあるし、Midweek Indy Pass、Power of 4 passというチケットもある。
Super Senior(80+)は言わずもがなだが、Midweek Indy Passとは月~金曜日の9時から4時まで有効なチケットで、Power of 4 passは何かと言うと、4人グループで一括購入するシーズンパスだ。

そして、米国のChestnut Mountainにも、Fill-A-Quad Season Passesがある。
これも4名の氏名、住所、メール、電話などを登録して一括購入するシーズンパスだ。

Norquayも、Chestnutも、提供している4人グループ向けシーズンパスは、一人でシーズンパスを購入するよりも一人あたりの単価が安くなる。また、4人そろって出かける必要もなさそうなので共同購入クーポンにちょっと似ているチケットだ。

定価の半額近くの特別価格を設定した上で、グルーポンやポンパレに手数料として50%前後をもっていかれる共同購入クーポンよりも、リゾートの負担は少ない。ただし、グルーポンやポンパレといったブランドのネームバリューで集客できない分は、リゾート単独のプロモーションが必要だ。しかし、ソーシャルでつながるターゲットにうまく伝えることさえできれば、シーズンパスを購入するターゲットが1人から、もっと多くのターゲットに増やすことができるかもしれない。

あ、そうそう。上のサンプルは4名固定のシーズンパスになっているけれど、ここはもっと柔軟に導入する必要がある。例えば、「4名以上であれば何人増えても1人当たりのシーズンパスは同額です」といった修正が必要だろう。あるいは自主的なアフィリエート活動を期待して「4名以上集客したリーダーは半額」などだ。

もう9月に入ったわけで、2012・2013年シーズンはすぐ目と鼻の先に顔をのぞかせている。是非、柔軟なシーズンパスを設定し、新しいシーズンを乗り切っていただきたい。

2012年8月30日木曜日

Twitterフォロワー数に一喜一憂しないマーケティング

SlopeFillersのGreg Blanchardが面白い記事を書いていた。

それによると北米のスキーリゾート50か所のTwitterアカウントを調べたところ、Fakeアカウント(SPAMやBOT)が4.8%、Inactiveが23.1%、Goodが72.1%になったそうだ。
出典:Slopefillers

50か所のリゾート合計で706,073人のフォロワーを抱えているうち、Fakeが34,174アカウント、Inactiveが163,244アカウント、Goodが509,079アカウントになっている。

約30%のフォロワーが意味のないアカウントであるとすると、単純にフォロワー数が増えたと喜んでいるわけにはいかない。

そこで、日本のスキーリゾートのTwitterアカウントはどうなっているかということで、彼が使った同じツールを使って調べてみたのが下図だ。(2012年8月29日時点)
最もfake率が高いのは4%でHakuba47、瑞穂ハイランド、 セントレジャー舞子スノーリゾートだ。Inactive率が最も高いのはこれまた瑞穂ハイランド。

最もfake率が低いのは0%でユートピアサイオト、湯沢温泉スキーアルプの里だ。Inactive率が最も低いのは猪苗代スキーミネロエリア。

スキーリゾートで最もgoodが高いのは猪苗代スキーミネロエリアで98%、最も低いのは瑞穂ハイランドで83%となった。

フォロワー数トップ20にランクされるスキーリゾートの合計フォロワー数は42,602人。平均すると10%がfakeやinactiveとなり、それを除いた本当のフォロワーは37,812人となった。


Greg Blanchardが調べた北米リゾートと比較すると日本のスキーリゾートが抱えるfakeやinactiveは今のところ三分の一だ。しかし、フォロワー数が増えてくればこの比率は上がってくるはずだ。なんとかgoodのフォロワーを増やさなければならない。それには価値のあるコンテンツを提供してゆかなければならない。その価値のあるコンテンツを共有してもらうことで露出とネットワークを広げてゆかなければならない。

また、goodのフォロワーを抱えていた所で、スキーリゾート側のツィートがフォロワーに露出していなければ、fakeフォロワーと何ら変わる所もないことになる。そのためには、goodのフォロワーに対してエンゲージメントしてゆかなければならない。スキーリゾート側が発信するだけではなく、goodのフォロワーのツィートをモニタリングしてレスポンス、あるいはアクティブサポート的な対話をしてゆかなければならない。

ツィートしておけばそれでお終いという話にはならないのだが、スキーリゾートの中でそこまでリソースを確保できるところは限られている。マーケティング部門をもっていたり、マーケティング担当者がいるところは希だろう。

となると、関係者やアルバイトを含めた社員全員がなんらかの形で、程度の差こそあれ、発信とモニタリング、レスポンスを行ってゆかなければならない。あるいは、同じ県に所在する複数のスキーリゾートで共同チームを組んだり、所在する県や市町村、観光協会などとウィンターチームを組むことも検討しなければならない。

マーケティングと名のつく施策はリソースがなければ進まない。そして、ソーシャルメディアマーケティングの知見や蓄積、個人ユーザとのネットワークは外注では獲得できないだけに、共同チームやウィンターチームに期待をしたい。

それがなければフォロワー数の増減に一喜一憂するだけに終わってしまう。絵に描いた餅の大きさに目をとられて裏側でカビが広がっていることに気がつかない。

2012年8月8日水曜日

メール・マーケティングも重要

Exact Targetから「The 2012 Channel Preference Survey」が出ている。
消費者に好まれるメッセージ・チャネルを分析し、ランキングしているレポートだ。

それによると消費者が情報受信を許諾した際、最も好んでいるチャネルはemailで77%となっている。これに続くのはDMやSMSなどだが、emailが飛びぬけたメッセージチャネルになっていることが分かる。
そしてチャネルごとの購買経験でもemailで66%がトップとなっている。
出典:ExactTarget

ま、こういったデータを元にメールマーケティングは効果がありますよ、といったお話しだ。

もうひとつデータがある。これはRyan Solutionsが出しているもので、全部で263万人のファンやフォロワーを抱えている北米の18リゾートが行ったFacebookやTwitterにおける50投稿と、emailのCTRを比較したものだ。

それによると、EmailのCTRは2.03%、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアで共有されたCTRは0.29% となっている。ま、サンプル数が極端に少ないので、Emailとソーシャルメディアの効果はCTRでちょうど7倍の開きがあるといったような単純な比較はできないが、注目すべき点であることには変わりがない。
出典:Ryan Solutions

ソーシャルメディアが注目されて毎日のようにメディアで特集され、記事が掲載され、氾濫している。しかし、ソーシャルメディアはマーケティングのひとつのチャネルでしかない。そして、emailもそのチャネルのひとつだ。

ひとつのチャネルにパワーを集中するよりも、複数チャネルを組合せて重層的にコミュニケーションをとっていかなければならないことも事実だ。

その中でもemailマーケティングはコアに据えるべきチャネルだと考えるがいかがだろうか?リスト構築、育成してゆく時間、作業、配信、そして個人情報保護などにコストがかかる点で敬遠されがちがだが、emailはもっと活用されてしかるべきチャネルだ。